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Turkish intelligence, police nab 7 working for Mossad
 Daily Sabah, March 5, 2024

➡トルコ当局は5日、国家情報機構(MIT)とイスタンブール警察の合同捜査によってイスラエルの情報機関、モサド(Mossad)に情報を売り渡したと疑われる7名の人物の身柄を拘束したと発表した。
➡拘束された人物のなかには、元警察署長で治安問題を語るテレビタレントとして活躍していた私立探偵も含まれていた。MITは、この人物が金銭的な報酬のためにモサドに情報を漏らしていたこと、また、その情報が中東諸国の人びとや中東諸国と関係を持つトルコ企業に関するものだったことを突き止めた。
➡経緯としては、「ヴィクトリア(Victoria)」という暗号名を持つモサドの工作員が元警察署長だった私立探偵に接触し、「単純作業」を割り当てた。その後、2019年頃、モサドの工作員がベオグラードで訓練を施したという。また、暗号化されたメッセージアプリを使って、モサドの工作員と連絡を取るように指示した。治安筋によると、報酬は暗号通貨で支払っていたとしている。
➡具体的な情報の内容としては、ターゲットとなっている人物の車に追跡装置を取り付け、その居場所に関する情報をモサドに伝えていたと言われている。
➡トルコのアリ・イェルリカヤ(Ali Yerlikaya)内相は、今回の事件に関するビデオを公開しつつ、「我々は国内でのスパイ活動を決して許さない」と語った。同内相によると、警察当局は今回の事件に関して、銃、麻薬、デジタル資料、書類、盗聴に使われた機器なども押収したという。メディアは、容疑者の一人の住居から4.5kgのコカインを発見したと報じている。また、容疑者のなかには、元警察官4人、税務署職員1人がいたことも明らかになっている。こうしたことから公務員へのリクルートを進めていたことが見て取れる。
➡最近、トルコでは、イスラエルが絡んだ同様のスパイ摘発が頻発している。たとえば、2024年1月、イスラエルの情報機関に協力したとして、34人がスパイ容疑で逮捕されている。
➡トルコとイスラエルの関係は、2023年10月に起きたハマス(HAMAS)のイスラエル奇襲後、イスラエルがハマスへの報復攻撃を続けていることに対して、トルコ政府が厳しく批判していることから良好とはいえない状況になっている。イスラエルは、レバノンやトルコ、カタールなど、ハマスが拠点を置く国であれば、どこでも標的にする用意があると強い姿勢を示している一方、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdoğan)大統領は、イスラエルがトルコ国内のハマス幹部を攻撃すると脅した場合、イスラエルに「深刻な結果」をもたらすと警告している。

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Turkey spy chief Kalin to meet CIA’s Burns, discuss Syria, on first US visit
 Al-Monitor, March 4, 2024

➡トルコ国家情報機構(MIT)のイブラヒム・カリン(Ibrahim Kalin)長官は、2023年、同ポストに就任後、初めて米国を訪問し、米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ(William Burns)長官と近く会談する予定となっている。
➡カリン長官は4日、トルコを出発し、5日にワシントンに到着する見込みである。トルコの国営メディアによると、今回の訪問では、米国とトルコの二国間関係に加えて、イラク、シリア、イスラエル・ハマス紛争、ロシア・ウクライナ紛争が議題として取り上げられると見られている。
➡カリン長官が就任後、初めて訪米することについて、重要なのはそのタイミングである。おそらくカリン長官は、イラクとシリアにおけるトルコの過激派組織との戦いについて言及することになるだろう。トルコ政府は、非合法組織と定めているクルディスタン労働党(1984年からトルコ国内におけるクルド人自治のために武装闘争を繰り返している)を安全保障上の脅威と見なしており、米国に対してクルディスタン労働党と結びついているクルド人主体の反体制組織、シリア民主軍への支援をやめるように要求するものと考えられる。
➡トルコとシリアの関係は現在、国境地帯で軍事的なにらみ合いが続いている状況である。トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdoğan)大統領は、カリン長官の訪米に先立ち、トルコ国境から30km南のシリア北部にシリア民主軍を押し出すために、シリアとの国境に沿って全長900km以上にわたる安全回廊(security corridor)を設けるという目標を示した。
➡一方、2024年1月、スウェーデンのNATO加盟を批准したことによって、トルコと米国の間で前向きな気運が高まっている状況でもある。トルコはスウェーデンのNATO加盟に反対していたが、それを取り下げ、バイデン政権がロシアのウクライナ侵攻後、外交政策の優先課題としているNATO拡大に同意した。

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How the Chinese civilian and military intelligence agencies confronting CIA and the Pentagon
 By Nadia Helmy(Associate Professor, Beni Suef University)
 Modern Diplomacy, March 3, 2024

➡米国と中国の間には現在、情報活動をめぐる数多くのトラブルが存在している。その原因は、中国の情報機関が多く、しかもその活動が多様であること、そして米国の情報機関と対峙するとき、中国の情報機関が変わった戦術を用いているためである。中国の情報機関が米国の社会に浸透することができた背景には、中国系400万人を含む1700万人以上のアジア系米国人の存在に加え、3000社近くに上る中国の架空企業やフロント企業の巨大ネットワークが挙げられる。中国人はさまざまな名前を持ち、普段は中国政府とも直接、関係がない。
➡中国の情報活動は直接的で機密性の高い情報を得るために、影響力のある工作員を集めることに頼っているわけではない。むしろ、一見すると無価値と思われる何千もの小規模な情報活動を行なわせることに頼っている。だが、中国の防諜活動は、こうした緩慢で複雑な情報活動から引き出されたものによって成り立っている。
➡中国の情報機関としては国家安全部、統一戦線工作管理局、人民解放軍など、さまざまな手段で活動を展開している。国家安全部は1983年7月に設立され、公式には15万人の職員を擁するとされている。本部は首都北京にあり、国内外において防諜活動も含む情報活動を担当する。また、その影響力は、各省や市の支部に至るまで中国社会全体に及ぶ。2022年、陳文清が国家安全部トップを務めた人物として初めて中国共産党中央政法委員会のメンバーになったことも記憶に新しいところである。
➡中国の情報活動に関して分析する価値があると思われるのは、国家安全部が最近、その役割を拡大し、「破壊工作、分離主義、スパイ活動との戦い」を宣伝するため、公式発表を行なうことによってその姿を初めて公にさらそうとしたことである。実際、国家安全部は2024年1月、「中国人民警察節」で自分たちの業務内容を紹介した。このことは、中国共産党が安全保障に一層、重点を置くようになり、習近平国家主席が毛沢東依頼、もっとも強力な中国の指導者として自らを示そうとしている一端だと思われる。
➡また、国家安全部は2021年の人材採用に関して、その詳細を公表し、採用試験を実施すると明らかにしたり、中国のSNSプラットフォーム「WeChat」にアカウントを開設し、日々の業務に関する投稿を行なっている。
➡国家安全部は、工作員の大半が学生出身であるため、大学レベルから工作員の監視とリクルートを開始することが多い。これが中国の情報活動の優位性を支える根本的な理由である。すなわち、そうすることによって的確に有能な人材を選抜することができるし、工作員を長期にわたって国家安全部の監督下に置くこともできるのである。
➡ただ、中国でもっとも重要なのは、国家安全保障上の配慮を維持しつつ、中国国内のあらゆるレベルにおける腐敗と戦うことである。昨年、スパイ法を改正し、スパイの定義を大きく拡大した。実際、中国は外国企業を標的とした大規模なキャンペーンを開始しており、米国との間でそれに関連する事件も発生している。米国と中国の機密情報をめぐる衝突は、こうした背景から来るものである。

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Disclosing Secrets: Deterrence, Diplomacy, and Debate – Reflections on Remarks by DNI Avril Haines
 by Brianna Rosen(Fellow, Oxford University)
 Just Security, March 1, 2024

➡一般に情報機関の仕事に関して、透明性を思い浮かべることはないだろう。だが、バイデン政権内で情報活動のあり方を変革しようとしているアヴリル・ヘインズ(Avril Haines)国家情報長官にとって、それは優先事項になっている。米国の情報コミュニティー(intelligence community)は、競合国の行動を抑止すること、同盟国との情報外交(intelligence diplomacy)を展開すること、国民に情報を提供して議論に参加させること、という3つの目的を掲げ、かつてないほど多くの秘密を共有している。
➡この3つの目的を達成するために、バイデン政権は「戦略的機密解除(strategic declassification)」(国家安全保障の目的を達成するために機密情報を意図的に公開すること)に頼っている。これは、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が偽りの口実でウクライナに進行する計画を世界に警告する上で非常に重要だった。ロシア以外にも、セルビアによるコソボ侵攻の阻止、中国による台湾への妨害工作の鈍化、紅海におけるイランによるフーシ派支援の中止、イスラエルによる空爆に関するハマスの主張への反論など、ホワイトハウス当局者はこのアプローチを高く評価している。
➡多くの場合、機密情報の共有は通常通りに行なわれている。少なくともキューバ危機までさかのぼれば、情報コミュニティーは長い間、政策目標を支援するために機密情報を「格下げ」してきた。ただ、最近、変わってきたのは、情報公開の制度化とペースにおいて、以前なら月に1~2件だった格下げ要請が、1日に数件に増えたと言われている。米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ(William Burnes)長官が言うように、戦略的機密解除は「政策決定者にとって、さらに強力なツールになった」のである。
➡だが、国策としてのスパイ活動に焦点を当てると、この戦略における第三の柱が見えなくなっている。競合国や同盟国の見解を形成するためだけでなく、国民に情報を提供し、議論に参加させ、信頼を築くためにも、情報コミュニティーは一層、戦略的機密解除を利用するようになっている。ヘインズ長官は、米オンラインメディア「Just Security」設立10周年を記念して行なわれた講演のなかで、「公開討論や論争は誤りではない。我々のシステムの特徴である。公の場での論争によって、個人や組織は軌道修正することができる。つまり、米国民が合法的、倫理的、あるいは、賢明であると信じていることを確実に把握することができる。そして、情報コミュニティーはこの分野でユニークな課題に取り組んでいる」と語っている。
➡とはいえ、何が合法的で、何が倫理的で、何が賢明であるかを見極めることは難しい。ヘインズ長官によると、大きな課題は情報コミュニティーが「公開討論の恩恵にあずかることなく、何が一線の範囲内で、何が一線の範囲外なのかを決めなければならないことだ。これは簡単ではない。関連する法的根拠が必ずしも正しい指針を与えてくれるとも限らない」という。
➡こうしたなかで現在、進めようとしている計画として、国家情報会議(National Intelligence Council)における「透明性イニシアチブ」である。このイニシアチブを通じて、国家安全保障に関するさまざまな問題について、機密扱いではない、あるいは機密扱いを解除した分析結果を公表している。ヘインズ長官は、「我々の日常生活における国家安全保障の重要性が増しているなか、このような問題に関する国民の議論に情報を提供する手助けができれば、それに越したことはない。そうすることによって、我々は国民の関心が高い問題を優先的に分析する。また同時に、情報コミュニティーの評価が世論のものと異なる場合には、脅威の表かと関連情報に焦点を当てるようにする」と述べている。
➡ヘインズ長官によれば、透明性は世論の議論に情報を提供するとともに、その議論が情報コミュニティーの思考を形成することを保証するという2つの目的を果たすものであり、「我々の透明性は、我々の仕事を向上させるという、もう一つの目的にも役立っている」という。情報コミュニティーの分析を学界や市民社会などの利害関係者の多様な視点にさらすことによって、情報コミュニティーは仮説を検討し、外部調査による検証を行ない、「認知バイアス、動機づけバイアスを防ぐ」ことができるというのである。
➡また、政府への信頼が歴史的に低下している現在、情報、制度、枠組みに対する国民の信頼を取り戻すために、戦略的機密解除を含む透明性イニシアチブの活用が見込まれる。「透明性は、我々の活動に対する国民の信頼を確保するための基本的な要素である」とヘインズ長官は語る。
➡国民の信頼を築き、再構築することは、戦略的機密解除をより広範に成功させるために欠くことができない。国務省のネッド・プライス(Ned Price)報道官とAP通信のマット・リー(Matt Lee)記者とのやりとりのなかで、ロシアのウクライナ侵攻計画に関する情報の機密解除をめぐる問題が話題になったように、戦略的機密解除は米国がプロパガンダやその他の目的のために情報を悪用したという苦難の過去を克服することができた場合にのみ、機能する。
➡結局、機密解除は、特定の状況下では逆効果になるおそれがある。誤った、あるいは不適切な使い方をすれば、戦略的機密解除は国家安全保障上のリスクを増大させ、パートナーシップを損ない、国民の信頼を損なう可能性がある。戦略的機密解除で意図された対象者に影響を与えるために分析が歪曲されるような情報の政治化は、いまやかつてないほど深刻なリスクを示している。戦略的機密解除と戦略的偽情報の境界線は、とくに国民との関わりにおいて決して超えてはならない。
➡他の領域と同様、戦略的機密解除の期待と危険は、インテリジェンスの正確さと分析の信頼性、強固な制度的保障と監視メカニズムの確立、そして適切なタイミングでの明確なリーダーシップの発揮にかかっている。情報コミュニティー内の透明性は、こうした要素を先々まで確保するための非常に重要な、しかしまだ十分とは言えないステップである。

外国支援の偽情報工作が国内に与える影響を考える

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 JHU Advanced Academic Programs, February 29, 2024
➡Michael Ard for a discussion with Brian Murphy on "Foreign-Backed Disinformation: Its Impact on the Homeland."
➡Brian Murphy is the Managing Director for Logically.ai. In his role, he assisted in developing and implementing advanced Machine Learning and Artificial Intelligence solutions to find harmful threat content at scale and across languages and internet platforms. Before joining Logically, Murphy served as both the principal and acting under secretary for intelligence for DHS. Murphy was a special agent with the FBI for 20 years. While there, he performed duties from street agent up to roles as a national manager in the senior executive service. During his career, he served in New York, Afghanistan, Algeria, Tunisia, Niger, Pittsburgh, Chicago, and Washington, DC. Murphy began his federal service in 1994 as an officer in the Marine Corps and would later return to this role in 2004 after being recalled to active duty for service in Iraq.
➡Since 2021 Murphy has been an adjunct professor for Georgetown’s Security Studies Program, where he teaches about homeland security and the complex domestic intelligence architecture underpinning national security. As of 2022, Murphy has been a member of DHS’s Election Infrastructure Committee. In 2023 Murphy joined Pitt Cyber as an Affiliate Practice Scholar and collaborates with researchers and industry. In 2024 Murphy became the president of the Information Professionals Association.
➡Murphy’s academic credentials include a PhD from Georgetown University; Master of Arts from Columbia University; and a Bachelor of Arts from William and Mary. He is a certified U.S. Intelligence Officer and Joint Duty Certified and maintains a Top Secret clearance.

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