豪国家情報長官、ファイブ・アイズ間の透明性を確保すべきと提案

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Australia developing ‘top secret’ intelligence cloud to work with US, UK spy agencies
 Breaking Defense, December 5, 2023

➡オーストラリアのアンドリュー・シアラー(Andrew Shearer)国家情報長官は5日、米シンクタンクの戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies)主催のイベントに出席し、「我々は極秘クラウド構想に懸命に取り組んでおり、この構想を前進させる立場になることを期待している」と語った。
➡シアラー長官は、クラウドがいつ開始されるかについて明らかにしなかったが、オーストラリアの情報機関が米英と協力する方法を「変革」することになるだろうと述べた。クラウドは当初からこれらのパートナー国の相互運用性を念頭に置いて設計されている。それによって、国家安全保障上の脅威をより的確に見つけることができるようになる見込みである。
➡また、シアラー長官は、米英両国がそれぞれ情報クラウドを構築する際の「経験」もオーストラリアのプログラムを形成し、「問題」に対処し、「いくつかの落とし穴」を回避するのに役立ったとしている。「これはお互いに学び合えるという、実に強力なデモンストレーションになったと思う……人工知能の世界に進むにつれて、我々が学び、共有できることも数多くある」と述べている。
➡米英豪は、すでにニュージーランド、カナダと並ぶ「ファイブ・アイズ」情報共有体制のメンバーとして緊密に情報を共有している。今回のシアラー長官の発言は、米英豪参加国が国家安全保障上の結びつきを一層、強めようとしていることを示すものである。
➡シアラー長官は、情報分析官が人工知能に過度に依存することを警戒し、人工知能がミスを犯し、「干し草の山のなかにある針を見逃す」ことを恐れている可能性があることを認めた。シアラー長官は、そのような見方について分析官の典型的な仕事ぶりではないと強調し、むしろ分析官は、オープンソースや機密データを調べ上げ、人間の判断にもとづいて脅威を発見するとして、「分析官が人工知能のようなツールに全面的に傾倒するのは難しいと思う」との見方を示した。
➡だが、シアラー長官は、ファイブ・アイズの構成国に対して、人工知能を使った情報収集技術について「ともに進む」ように促し、異なる、あるいは個別のアプローチが採られたとき、誰かが「地平線の彼方へ売り飛ばされ、その残りは暗闇に取り残される」ことになりかねないと警告を発している。その点で、ファイブ・アイズの構成国の間に透明性が保たれるべきだと提案した。
➡さらにシアラー長官は、日本がファイブ・アイズに参加するかどうかに関する「活発な議論」にも言及したが、他の構成国がこの問題についてどのように考えているかは示唆しなかった。「日本は近年、戦略的な姿勢を変えており、どこを目指すかという点では非常に前向きだ。私が本当に心強く思っているのは、日本の政治システム全体と日本の政府機関全体が情報能力のレベルを上げることが必要だと深く理解していることだ」とシアラー長官は述べている。その上で、オーストラリアと米国は、こうした課題を抱える日本を支援する「完璧な立場にある」と語った。

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Fireside Chat with Andrew Shearer
 Center for Strategic and International Studies, December 5, 2023

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Lapse of US global warrantless surveillance power would be damaging -FBI chief
 Reuters, December 5, 2023

➡米連邦捜査局(FBI)のクリストファー・レイ(Christopher Wray)長官は5日、米上院司法委員会の公聴会に出席し、米国政府が国外で令状なしの監視活動を行なう権限を更新するように強く要求した。その上で、もしそうしなければ、サイバーやテロの脅威に対抗する捜査機関の能力に「壊滅的な打撃を与えることになる」と主張した。
➡レイ長官は、今月末で期限切れになる外国情報監視法(FISA)第702条のもとで認められた広範な監視権限は米国の国家安全保障にとって不可欠であり、イランや中国からの脅威を引き合いに出しつつ、「FBIから第702条の権限を剥奪することは一方的な武装解除にほかならない」と述べた。
➡米国政府の監視権限は近年、右派・左派双方の議員から批判を受けている。とくにFBIが外国の標的を監視する一環として摘発された米国市民のデータを検索する能力について批判されている。米国の超党派議員団は今年11月、米国人の通信に対する捜査に新たな制限を課し、米国人をスパイするために外国情報機関の正当性を主張する、いわゆる「裏口」捜査を禁止する法案を提出した。
➡米政府高官は、この法律にもとづいて収集された情報は、サイバー脅威に対抗し、米国に向けられた外国のスパイ活動を阻止するために欠かせないものであると主張し、新たな令状要件に反対している。
➡今回の公聴会においてレイ長官は、FBIは「当局の良き管理者」になるとし、捜査機関による法の運用に対する批判を受けて、改革をすでに始めていると述べた。

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ウクライナ反転攻勢から半年、ゼレンスキー政権と軍の確執表面化
 産経新聞(2023年12月3日)

➡ウクライナ軍が大規模反転攻勢を開始してから4日で半年が経過した。ウクライナ軍はロシア軍の防衛線を一部突破したものの数カ月にわたり戦況は膠着(こうちゃく)。長期戦が見込まれる中、ゼレンスキー政権と軍の間では確執が表面化した。国内の分断を狙ったロシアの揺さぶりとの見方もあり、ウクライナは正念場を迎えている。

ウクライナ高官「別の戦術に移行」 反攻の見直し示唆
 産経新聞(2023年12月5日)

➡ロシアの侵略を受けるウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は4日、X(旧ツイッター)で「戦術上の調整」が現在求められているとし、「われわれはある地域で守り、ある地域で攻撃するという別の戦争戦術に移行している」と述べた。その上で、兵器の国内生産を増やすことや、「新たな攻撃作戦」に必要な重要装備の供与に向けたパートナー諸国との交渉に、全ての国家資源を振り向けていると指摘した。

ウクライナ反転攻勢「失敗」と米紙 作戦方針巡り米国と摩擦
 産経新聞(2023年12月5日)

➡米有力紙ワシントン・ポスト電子版は4日、ウクライナがロシアに対して6月に始めた反転攻勢について、当初の想定が外れて戦況が膠着し、全体として失敗していると特集記事で報じた。作戦方針や開始時期を巡り、最大支援国の米国と摩擦が生じていたと伝えた。同紙はプーチン露大統領が支配地域を完全に吸収できると確信していると分析した。

米とウクライナ、反攻の時期や戦略で対立 米紙報道、膠着の背景
 産経新聞(2023年12月5日)

➡4日付の米紙ワシントン・ポストは、ロシアの侵略に対するウクライナの反攻作戦をめぐり、米国とウクライナの間で準備段階から見解の対立が生じているとする記事を掲載した。6月初旬の開始から約半年を経過した反攻作戦は、露軍の強固な防衛線や兵力の大量投入に前進を阻まれている。戦略に関する意見の不一致や露軍の戦力をめぐる判断ミスが膠着(こうちゃく)の背景として浮上してきた。

米政権、年末に予算枯渇と警告 ウクライナ支援中断に危機感
 時事ドットコム(2023年12月5日)

➡米政府は4日、議会指導部宛てに書簡を送り、ロシアの侵攻が続くウクライナへの軍事支援を行うための政府予算が年末までに枯渇すると警告した。その上で、ウクライナ支援の継続に向け、緊急予算を承認するよう呼び掛けた。

中国の格付け見通し「ネガティブ」に引き下げ ムーディーズ、不動産不振で
 産経新聞(2023年12月5日)

➡米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは5日、中国の信用格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたと発表した。不動産業の不振といった経済下振れのリスクを踏まえた。中国に対する長期格付けは「A1」で据え置いた。

英、労働ビザの条件厳格化 移民抑制策、来春導入
 産経新聞(2023年12月5日)

➡クレバリー英内相は4日、移民抑制策として、技能労働者ビザ取得のための最低給与基準の大幅引き上げや、介護労働者らの扶養家族の帯同禁止など受け入れ条件を厳格化する5項目の計画を発表した。来春から導入される。

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Former US ambassador arrested in Florida, accused of serving as an agent of Cuba: Associated Press
 Washington Examiner, December 3, 2023

➡AP通信が伝えたところによると、米連邦捜査局(FBI)はキューバ政府のエージェントとしてひそかに活動していたとして、ボリビア駐在の米国大使を務めた73歳の元外交官を逮捕したとのことである。
➡逮捕されたのは、マニュエル・ロシャ(Manuel Rocha)という人物である。事件の詳細は4日の出廷で公表される見通しだが、今のところ、ロシャに弁護士がついているかどうかも分からない。
➡FBIは、ロシャがキューバ政府の利益を促進するために働いていたとみている。連邦法では、米国内で外国政府、または外国団体の政治的依頼を受けるとき、司法省に登録することが義務づけられている。司法省は近年、不法な外国ロビー活動の取り締まりを強化していた。
➡外交官として25年のキャリアを持つロシャは、その任務の大半を冷戦下のラテンアメリカで行なった。まさに米国が政治的・軍事的政策が強引に進められた時期である。ロシャはキューバの政治指導者、フィデル・カストロ(Fidel Castro)の共産主義政権と完全な外交関係を結んでいなかった時期も含まれる。
➡ロシャは、もともとコロンビア生まれであり、ニューヨークの労働者階級の家庭で育ち、イェール大学、ハーバード大学、ジョージタウン大学でリベラルアーツの学位を次々と取得した後、1981年に国務省に入省した。1997年から2000年にかけてアルゼンチンに赴任した後、駐ボリビア大使に転任し、そこで2002年の大統領選挙に直接、介入した。すなわち、投票の数週間前に、もしボリビアで元コカ栽培者のエボ・モラレス(Evo Morales)が大統領に選出されたならば、米国はボリビアへの援助を打ち切ると警告したのである。
➡この警告はうまくいったが、3年後、ボリビア国民はモラレスを選び、左派指導者は「内戦」を扇動したとしてロシャの後任となった米国大使を追放してしまった。
➡ロシャは、イタリア、ホンジュラス、メキシコ、ドミニカといった国々でも勤務し、国家安全保障会議ではラテンアメリカの専門家スタッフだった。
➡国務省退所後、ロシャはビジネス界で第二のキャリアをスタートさせ、カナダのパトリック・ゴールドが一部、所有するドミニカ共和国の金鉱の社長を務めた。また、最近ではペンシルベニア州の石炭輸出会社、法律事務所フォーリー&ラードナー、スペインの広報会社ロレンテ&クエンカなどで要職を歴任した。
➡なお、フォーリー&ラードナーによると、ロシャは8月に法律事務所を退所したとのことである。

Russian research ships used for espionage purposes sighted off the Dutch coast
 NL Times, December 3, 2023

➡調査報道メディアの「ポインター」によると、ここ数カ月、オランダ沖にある天然ガスのパイプラインや通信ケーブル、風力発電所の近くにロシアのスパイ船が潜伏しているそうである。
➡スパイ船は2隻で、スパイ活動や破壊工作の目的で水中ドローンを使用したのではないかと見られている。残念ながら、オランダ沿岸警備隊やオランダ海軍には、その調査を行なえるだけの能力がないので、証拠は押さえられていない。
➡このスパイ船は普段、南極付近の海底を探査するために配備されるものらしいが、6月末、北海のオランダ海域に入ってくると、10日間ほど、そこで動かなかったという。その間、とくに目立った動きもなかったようだが、オランダ海軍の軍艦はこのスパイ船を停止させる許可を持っておらず、水中で何を行なっているか、観察するような構造にもなっていなかった。
➡欧州議会議員のバート・グルース(Bart Groothuis)氏は、この状況を憂慮し、深刻な事態だと考えている。グルース氏は、「その船は科学的な意味で、ノーベル賞を受賞するためにそこにいるのではなく、どうすれば妨害工作ができるかを確認するためにいるのである。そうでなければ、長期的に自分たちの好きなタイミングで物事を妨害できるような態勢を整えることができる」と語っている。
➡総じてこの状況は、オランダにとって簡単なものではない。国際海洋法によれば、ロシアはオランダの排他的経済水域を自由に航行することが許されている。
➡オランダ・ハーグにあるシンクタンク「HCSS」のパトリック・ボルダー(Patrick Bolder)氏によると、オランダ海軍の行動範囲はかなり限られているという。「海軍は行動することが許されていると言いたいのであろうが、実際には海軍は軍事的な行動しか想定していない」と述べている。
➡だが、ロシアのスパイ活動を明確に示す証拠がない以上、軍が直接介入しなければならない状況には、まだ至っていない。

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