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ODNI releases new open-source intelligence strategy with limited details
 The Record, March 12, 2024


➡今月8日、国家情報長官室(ODNI)と米中央情報局(CIA)は、公開情報(OSINT)に関する新しい戦略文書を発表した。そのなかでOSINTを収集、作成、提供する方法を新しく開発していることが述べられているが、2026年までに推し進めたい戦略の詳細について踏み込んで書かれているわけではない。
➡民主党のロン・ワイデン(Ron Wyden)上院議員のような批評家たちは、ODNIやその他の情報機関に対して、商業的に利用可能な情報が爆発的に増加していることから、OSINTがプライバシーにどのような影響を与えているかについて報告するように働きかけてきた。ワイデン議員は2023年12月、米国家安全保障局(NSA)の次期長官の指名を阻止し、NSAがデータブローカーから機密情報を入手しているかどうかを明らかにしようとした人物である。
➡今回の戦略文書によると、「OSINT、すなわち特定のインテリジェンスの優先順位、要求、またはギャップに対処する、公開または商業的に入手可能な情報のみから得られるインテリジェンスは、情報コミュニティーのミッションに欠かせないものであり、独自の情報価値を提供し、他のすべての情報収集分野を有効なものにする」という。
➡その文書ではまた、中国やロシアのような脅威には言及していないものの、OSINTの処理を改善するための基本戦略が強調されている。その戦略とは、(1)より多くのOSINTを共有し、その収集について協力を促進する、(2)統合された収集官吏ツールを作成する、(3)OSINTを扱うためのスキルと能力を一層、高めるために技術革新を推進する、(4)労働力への投資を通じて次世代OSINTのための訓練技術を向上させることが挙げられている。
➡さらに米国の情報コミュニティーは、「民間セクターで開発・応用されている最先端の能力を活用する」ために、産業界や学界との連携を「再考」しなければならないとしている。
➡専門家によれば、米政府はOSINTの膨大な価値を認めながらも、その無限に近い量に圧倒されているという。ブルームバーグが今年1月に報じたところだと、ODNIは2023年10月、情報コミュニティーのOSINT戦略を強化するため、サイバー問題の第一人者であるジェイソン・バレット(Jason Barrett)氏を招いたという。その任務は、戦略文書で示された4つの基本戦略を進めることにあると見られている。
➡また、CIAはAIを活用し、膨大なデータから関連情報を抽出する「ChatGPT」のような技術を開発した。このツールには、OSINTのコンテンツを自動的に消化し、分析官がもっとも重要な情報を探し出すのを助ける機能がある。
➡こうしたツールが必要であることは、米上院情報委員会のマーク・ワーナー(Mark Warner)委員長らによって主張されてきた。同委員長は、OSINTの進化は情報機関の仕事に大きな変化をもたらすとし、「オープンソースの情報から多くのことを学ぶことができる」との見方を示している。

[関連資料]
The IC OSINT Strategy 2024-2026
 Office of the Director of National Intelligence, March 8, 2024

ODNI and CIA Release the Intelligence Community: OSINT Strategy for 2024-2026
 Office of the Director of National Intelligence, March 8, 2024

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CIA Director: With supplemental, Ukraine can hold its own against Russia
 Defense One, March 11, 2024


➡ここ数カ月、ロシアはウクライナとの戦闘で優位を得ていると見られている。このため、一部の論者からはウクライナに対して、領土を放棄することも含め、ロシアとの交渉に入るべきだという意見が出始めている。
➡だが、米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンス(William Burns)長官は11日、ウクライナへの追加資金に難色を示す上院議員に対して、そのような妥協案を提示するつもりはないと語った。また、もし米国が数カ月遅れとはいえ、歳出追加法案を通過させることができれば、ウクライナは今よりも強い立場を得て交渉することができようになると述べた。
➡バイデン政権は、昨年秋からウクライナへの600億ドル以上の追加資金を含む1000億ドル近い援助パッケージを可決するように、議会に対して働きかけを行なっている。
➡バーンズ長官によると、「我々の評価では、追加援助があれば、ウクライナは2024年から2025年初頭まで前線を維持することができ、ウクライナはロシアに対して犠牲を払い続けることができる。クリミア半島への侵入や攻撃だけでなく、ロシアの黒海艦隊にもこの半年間で15隻の艦船を撃沈させており、この成功を継続させることができる」という。そうすれば、ウクライナは「攻勢のイニシアチブを取り戻す」ことができるという見方である。
➡だが、米議会、とくに下院では、ウクライナへの追加資金の投入に消極的である共和党が過半数を占めているので、援助パッケージに関して可決の見通しはけっして明るくない。バーンズ長官は、「追加援助がなければ、もっと厳しい未来が待っている。ウクライナは劣勢となり、2024年のうちに大きく失墜するだろう」と述べている。この意見について、アヴリル・ヘインズ(Avrill Haines)国家情報長官も同意した。
➡バーンズ長官は、ウクライナの敗戦が他国に与える影響を懸念している。すなわち、ウクライナの敗戦によって、米国の友好国や同盟国の間で米国は信頼できないパートナーだと思わせることになり、それが今後、近隣諸国への勢力拡大を狙っている中国の行動を助長するだろうと見ている。
➡「もし米国がウクライナ支援から手を引くと見られれば、インド・太平洋地域の同盟国やパートナーの間に疑問を抱かせるだけでなく、台湾から南シナ海に至るまで、有事において中国指導部の野心を煽ることになる。……私は、ウクライナ人が勇気と粘り強さではなく、弾薬を使い果たしているのだと思う。そして米国は、ウクライナを助けるための時間を消耗しているのだ」と、バーンズ長官は述べている。

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In First, Russia Arrests South Korean National on Spying Charges
 The Moscow Times, March 11, 2024


➡ロシアの国営メディア「タス通信」が11日、警察当局者の話として伝えたところによると、ロシア当局は防諜活動の一環として行なわれた捜査のなかで、韓国人のペク・ウォンソン(Baek Won Sung)をスパイ容疑で逮捕したとのことである。
➡ペクは、2024年初頭、ウラジオストクにおいて、外国の情報機関に機密情報を提供したとして身柄が拘束され、2月下旬、モスクワに移送された。その後、モスクワのレフォトヴォ裁判所はペクの拘留機関を3カ月延長し、6月15日までとした。ペクは現在、レフォトヴォ刑務所に拘留されている。
➡今回の事件は、ロシアにおいて韓国人がスパイ容疑で逮捕された初めてのケースである。また、ロシアが2022年2月、ウクライナへの本格的な侵攻を開始してからスパイ容疑で逮捕されたウクライナ以外の外国人は、ペクで2人目である。
➡なお、もう一人は昨年、米紙『ウォールストリート・ジャーナル』記者、エヴァン・ガーシュコビッチ(Evan Gershkovich)がロシア当局によってスパイ容疑で逮捕されている。米国は一連の容疑を否定している。

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CIA estimated 50% chance that Russia would nuke Ukraine if it risked losing war: report
 New York Post, March 10, 2024


➡9日付の米紙『ニューヨーク・タイムズ』が伝えたところによると、米中央情報局(CIA)は2022年、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領に対して、ロシア軍が消耗し、クリミア半島の支配が危機的な状況に陥った場合、ロシアは核攻撃に踏み切る可能性が50%以上あると警告していたという。
➡その後、バイデン大統領は10月6日、ニューヨークで開催された政治資金パーティーで「ハルマゲドン演説」を行ない、「ケネディとキューバ危機以来、我々はハルマゲドンの予兆に直面していない」としつつも、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が核のオプションを示唆するようなことがあれば、それは本気だろうというCIAの警告に言及し、「戦術核や生物・化学兵器の使用の可能性について語るとき、彼は冗談を言っているわけではない」と語った。
➡2022年2月、ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始した後、CIAは当初、ロシアが大量破壊兵器の使用を計画している証拠はないと見ていた。だが、ウクライナが反撃に転じ、ロシアの進撃を押し戻し始めてから、ロシア軍で小規模な戦術核を使用する可能性について議論していることを通信傍受によって把握したと、CIAは警告した。
➡マーク・ミリー(Mark Milley)元統合参謀本部長は、打倒ロシアを期待してウクライナに740億ドルの援助を提供してきた米国にとって、この状況を「核のパラドックス」と呼んだ。「ウクライナ人がロシアの侵略を追い払うことに成功すればするほど、プーチンが核爆弾を使うと脅す、あるいは核爆弾に手を伸ばす可能性が高くなる」と語っている。
➡バイデン政権高官はCIAの警告を受けて、ロシアがウクライナに向けた核兵器を配備する可能性に対して「厳重に準備」していると、CNNの取材に答えている。また、別の高官によれば、国家安全保障会議(National Security Council)が開かれ、ロシアによる核攻撃に対して米国がどのように対応し、抑止し、先制するかを議論したという。
➡昨今の戦況としてはロシア優勢が伝えられるなか、米情報当局はもはや核攻撃の差し迫った危険はないと考えているようである。だが、プーチン大統領は先月、NATOがウクライナに直接、軍事介入を行なった場合、ロシアの核兵器がNATO諸国を標的にするとのメッセージを出しており、核兵器使用をけっして否定しているわけではない。「西側諸国は、我々が彼らの領土を標的にして攻撃することができる兵器を持っていると認識しなければならない。核兵器の使用と文明の滅亡を伴う紛争がおそれがあるのだ。西側諸国は、それが分からないのか」と語っている。

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Ex-CIA head Brennan hints at intel community withholding ‘sensitive’ info from Trump after he gets nomination
 Fox News, March 9, 2024


➡今月7日、元米中央情報局長官(CIA)のジョン・ブレナン(John Brennan)氏は、MSNBC記者の取材に対して、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が共和党の大統領候補になったとしても、米国の情報当局はトランプ氏に機密情報を提供しない可能性があると語った。
➡通常、米国では大統領選挙期間中、党派を問わず大統領候補になった人物に対して情報当局者からブリーフィングを受ける。これは長年、米国で続いてきた慣例であり、トランプ氏も2016年、大統領候補になった際にブリーフィングを受けている。
➡おそらく今回も、トランプ氏が共和党の大統領候補として選ばれれば、選挙期間中でも情報当局者からのブリーフィングが行なわれるものと思われるが、トランプ氏は機密文書を不当に持ち帰ったことで起訴されているため、その取り扱いについて情報当局者から懸念が上がっている。とくにトランプ氏は、それを政治的に悪用するおそれがあるからである。
➡ブレナン氏は、情報当局者がトランプ氏へのブリーフィングを行なう予定になっているが、その機密情報の扱い方について疑問を覚えるので躊躇しているという『ポリティコ』の記事を引き合いに出しつつ、自身の見解を語っている。それによると、ブレナン氏は「機密情報を不当に扱った罪で起訴されている人物が、機密情報のブリーフィングを受けるのはいささや非現実的だ」という。
➡だが、機密文書の持ち出しに関しては、現職のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領にも当てはまることである。その点についてブレナン氏は、現職の大統領がブリーフィングを受けるのは「伝統」であり、バイデン大統領がブリーフィングを受けるのは「理にかなっている」と述べた。だが、「提供した情報がドナルド・トランプによって悪用される可能性があるので、CIAの同僚たちは情報源や情報手法にダメージを与えないものをブリーフィングすることになるのは間違いない」と、ブレナン氏は語った。
➡さらにブレナン氏は、トランプ氏がブリーフィングを受け入れたら、「彼はおそらく、長年にわたって米国の工作員や情報機関そのものを蔑ろにしてきたように、ブリーフィングを蔑ろにするだろう」と指摘した。
➡ブレナン氏は、トランプ氏が初めて大統領選挙に出馬したときから、トランプ氏が米国の情報活動を危うくするとともに、トランプ氏が外国と共謀しているという説を煽ってきた人物である。実際、ブレナン氏はトランプ政権1期目を通じて、トランプ氏がロシアと共謀して大統領になったという説をさかんに広めたが、2020年には非公開の場で、両者の間に「共謀は見られなかった」という結論が捜査当局によって下された。
➡また、ブレナン氏は2020年の大統領選挙期間中に浮上した、ハンター・バイデン(Hunter Biden)のパソコンをめぐる問題についてロシアのプロパガンダだと主張する書簡に署名した約50人の元情報当局者の一人でもある。

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